家の中の場所別カビ対策 〜畳

自然素材を使用してある畳には、部屋の湿気を調節する能力があります。素晴らしい能力です。しかし湿度の高い季節には、湿気をどんどん吸収して湿度の高い状態となり、しかも目にホコリやごみが溜まっていると、カビやダニが繁殖しやすい状態となってしまいます。

また、素材のい草はそれ自体がカビの養分となる上に細かく織り込まれているため、繊維に沿ってカビが根を張りやすく、まさに「巣窟」になりがちなのです。

5〜6月、9〜10月は、特にカビが生えやすい要注意の時期。カビを発見したら、すぐに除カビして、よく乾燥させましょう。

畳に発生するカビの種類と原因

畳に発生するカビの種類

畳に発生するカビは初期段階では、ツチアオカビがとても多いのが特徴です。ツチアオカビは湿気の多い場所に生息し、色は黄緑から濃い緑色をしています。自然界では土壌に多く、落葉などを分解する働きがあります。しかし、畳の繊維を劣化させてしまうだけでなく、カビ臭いにおいも発生させます。
畳にはすすカビも発生します。すすカビの胞子はとても軽く、空気中に飛散しやすいのが特徴です。軽いのに胞子が大きいので、アレルギーの原因にもなります。
また、麹カビも発生します。麹カビは味噌や醤油などに使われることで知られていますが、カビ毒を作るので注意が必要です。

畳に発生するカビの原因

畳は芯となる「畳床」に、経糸にい草を編み込んで織られた「畳表」を被せ、「畳縁」で端を縫い付けて出来ています。畳のカビはこの3つのうち、「畳表」に発生するケースがほとんどです。畳表の天然イ草は、空気中のホコリを吸収・付着し、湿気を調節する性質があります。家の中でカビの発生しやすい場所の特徴として、

  • 結露ができやすい場所
  • 空気がよどむ場所
  • 湿気の多い場所
  • カビの栄養(汚れ、ゴミ)が多い場所

等が挙げられますが、「畳表」はカビの発生条件である湿気の多い場所、空気がよどむ場所、カビの栄養(汚れ、ゴミ)が多い場所を満たしていて、カビが発生しやすくなります。また、い草には湿気を調節する機能があることを先ほど紹介しましたが、新しいい草の方がこの機能は高くなります。畳表は古くなるとい草が潰れ、この調節機能は衰えていきます。ですから、新しい畳表は湿度が高いとどんどんい草が湿気を吸収してくれるので、その分カビが発生しやすくなるのです。
また、和室を洋風の部屋として使用するとき、畳の上にカーペットを敷く場合もありますが、これもカビの発生を増長させます。なぜなら、畳の上にカーペットで蓋をした状態になり、湿気がこもりやすくなるからです。

畳に発生するカビの除去方法

畳に発生するカビの対策

もしも畳にカビが発生してしまったら、次の方法で掃除をします。

  1. アルコール除菌スプレーをぞうきんに含ませる
    直接カビにスプレーすると勢いでカビが空気中に舞うこともあるので、ぞうきんに含ませます。
  2. カビの部分にぞうきんを当てる
    カビが発生している部分にぞうきんを押し当てます。カビを広げないようぞうきんの面を変えていきます。
  3. 換気をする
    窓を開けて換気をして、畳を乾燥させます。また、使用したぞうきんは処分をしましょう。

カビが発生しやすい3つの条件は温度(20~30度)、湿度(70%以上)、養分があることです。このうち畳のカビ予防対策には「除湿」がとても有効です。
一番手軽な方法は「換気をする」ことです。週に1回は和室の窓を開け、換気をするようにしましょう。湿っぽい空気を留めるのを防ぐという意味では、和室にできるだけモノを置かないようにするのもおすすめです。また、除湿器や除湿剤を使用するのも効果的です。冬になると結露ができやすくなりますが、これもこまめに拭くようにします。

やってはいけない掃除方法

  • 水拭き
    畳掃除で一番NGなのは、水拭きです。水拭きをすると畳の湿度をかえって上げてしまい、カビ発生の環境を後押しすることになります。また、い草は水に弱いので、畳自体をボロボロにしてしまう可能性もあります。
  • カビの生えた箇所を叩く
    叩くとカビは畳から浮き上がりますが、これは胞子を空気中に放出させることでもあります。胞子を吸い込む危険性もあるので、カビの部分を叩かないようにしましょう。
  • 重曹で拭く
    汚れを落とすのに便利な重曹ですが、重曹のアルカリ成分にい草が反応してしまい、畳が黄ばんでしまいます。乾いても元に戻らないので、重曹は使わないようにしましょう。
  • 塩素系漂白剤をそのまま使用する
    カビの黒ずみを落とすことは、アルコールではできないので、塩素系漂白剤を使用しますが、200倍以上水で薄めて使うようにします。そのまま使うと畳の色素が抜けて、傷んでしまいます。