カビはアレルギーの原因にもなる

アレルギーを持っている人やお肌の弱い人にとって、カビはとても手強い敵。

呼吸によってカビの胞子を吸い込むことで、カビの胞子がアレルゲンとなり、カビのアレルギーを引き起こすことがあるからです。 特に、気管支ぜんそくや鼻炎などは多く見られます。

カビの中でもススカビ(アルテナリア)は胞子が大きく、これが鼻の中に留まってアレルギー性鼻炎を引き起こすとされています。 もちろん、気管支ぜんそくや鼻炎すべてがカビによるものではなく、ダニや花粉に起因するものも多くあります。

一般的に、 屋外と室内では室内の方がカビの胞子の量は多いと言われています。 咳が外出していると止まるけれども、帰宅すると再発する、といった場合には、原因がカビである可能性があります。

※咳やアレルギー様の症状を引き起こす物質はカビの他にもたくさんあります。安易な自己判断はせず、気になる症状があるときには医療機関で受診しましょう。

カビによる過敏性肺炎が増加の傾向

カビが原因!夏型過敏性肺炎とは

カビが原因となる肺炎の一つに、アレルギーによる過敏性肺炎=夏型過敏性肺炎があります。

一般的な肺炎は、細菌やウィルスなどの病原体が、肺に感染して引き起こされる炎症ですが、夏型過敏性肺炎の原因は、室内に発生するカビの一種「トリコスポロン」の胞子。発症すると、このカビの胞子を吸い込むたびに、咳などの症状が繰り返し起こるようになります。

このトリコスポロンというカビは、6月から9月くらいにかけての時期に、盛んに繁殖して胞子をたくさん飛ばします。温度20度以上、湿度が60%以上になると活動を始め、高温多湿になるほど盛んに繁殖するようになるため、梅雨の時期から夏の終わり頃までの間は特に注意が必要です。

過敏性肺炎発症のメカニズム

過敏性肺炎は、カビなど本来病原性や毒性を持たないものを繰り返し吸い込んでいるうちに、やがて肺が過剰反応を示すようになり、その後に同じもの(抗原)を吸入したときに、肺にアレルギー性の炎症が生じるようになる、というもの。

「トリコスポロン」の場合では、まず、梅雨の頃に繁殖し始めた室内のトリコスポロンの胞子が体内に入り、異物と認識されると抗体が作られます。抗体ができても、アレルギー症状は多くの場合すぐには起きるわけではありません。カビが原因の過敏性肺炎を発症する人が多くなるのは、夏の終わりから秋にかけてとされています。

トリコスポロンの要注意スポット

トリコスポロンは古い木や畳、カーペットなどで繁殖しやすいカビで、以前は、風通しや日当たりが悪く湿気の多い古い住宅に多くみられました。しかし近年では、気密性の高いマンションなどの住宅が、カビの繁殖に適した環境となっている場合が多く見られます。湿度が高くて風通しが悪い場所、湿気がこもりやすい場所は要注意です。

また、エアコン内部でトリコスポロンが繁殖することもあります。 エアコンをつけると必ず咳き込むなどの場合には、エアコンにカビが発生しているかもしれません。エアコン掃除の業者などに依頼して、きれいにすると良いでしょう。

カビ放置で過敏性肺炎が慢性化!?

抗原であるトリコスポロンの胞子の多くは自宅や職場にあるため、その環境から離れると症状が軽くなったりなくなったりしますが、再びその環境に戻ると悪化します。

気密性が上がるなど住環境の変化でカビはより長い期間繁殖するようになっているため、年末近くまで発症が続くこともあります。

翌年からは梅雨時期にカビが発生すると同時に発症するようになり、慢性化してしまう危険も。抗原にさらされていなくても常にせきや呼吸困難に悩まされる状態になることもあります。

カビによる過敏性肺炎にならないようにするには、室内のカビの胞子を可能な限り少なくしておくこと。

こまめな掃除を心がけましょう。

参考