クリプトコッカス症の特徴

クリプトコッカス症の病原体はクリプトコッカスで、細胞壁の外側に多糖体で構成される厚い莢膜(きょうまく)があるのが特徴の酵母状の真菌です。中でもCryptococcus neoformansとCryptococcus gattiiが病原性を持つと言われています。

Cryptococcus neoformansはクリプトコッカス症の主な病原菌とされ、世界中で分布がみられるなか、鳥類、特にハトの糞で汚染された土壌や腐敗した木材や樹木などに多く存在しています。日本国内の発症例のほとんどはこのCryptococcus neoformansです。一方、Cryptococcus gattiiはオーストラリア、ニュージーランドやアフリカ、アジア、南米などの熱帯・亜熱帯といった限定された地域での発生でしたが、近年では北米でアウトブレイク(集団感染)が起こるなど、世界での拡大が問題視されています。

クリプトコッカス症について

クリプトコッカス症は病原菌を含んだ粉塵などを吸入、もしくは傷口から経皮的に感染します。ちなみに、これまでヒト-ヒト間の感染報告はありません。

一方で日和見感染症の性格があるため、健全な免疫システムを持つ人は多くの場合感染は抑制されます。そのため健康な人の肺クリプトコッカス症は無症状か軽症で終わることがほとんどですが、症状としては咳や発熱がみられます。また、皮膚クリプトコッカス症では膿疱・丘疹・皮疹などがみられます。

免疫力が低下している人はクリプトコッカス髄膜炎を発症することがあり、症状の大半は脳浮腫が原因の発熱や頭痛、嘔気・嘔吐や首の硬直、霧視などで、抑うつ・興奮・意識障害などの神経症状を認めることもあります。
他にもホジキンリンパ腫、長期コルチコステロイド療法、臓器移植など、免疫抑制の治療をおこなっている人も感染のリスクが高いとされています。