ハエカビの特徴
昆虫に寄生して感染を広げ繁殖するカビはいくつかありますが、主にハエなどの小さな昆虫に寄生する菌として注目されているのがハエカビ(Entomophthorales)です。
ハエカビはハエカビ目に分類される菌の総称で、その数は多種にのぼります。多くは昆虫に寄生しますが、シダ類や藻類にも寄生する種も存在し、日本でも数例確認されました。
ハエカビが生体に寄生して菌糸を増殖しはじめると、宿主の行動に多大な影響を与えます。感染したまま飛び回ることで胞子を周囲に拡散させるだけではなく、より一層広範囲に胞子を飛ばせるように、死ぬ間際にできる限り高いところに登るように仕向けることや、体内に菌が充満して体表まで胞子の色で白っぽくなった死骸からも拡散・感染するように計算されているといわれています。
ハエカビについて
ハエカビの繁殖のシステムは宿主の雌雄をも利用します。感染した雌のハエは死んだ後、「セスキテルペン」という化学物質に近いものを放出し、フェロモンのような香りを発して雄を誘惑します。この香りに魅了された雄のハエは死んだ雌のハエと交尾をしようとしたり、死骸を食べようとしたりすることで感染が拡大する「死の連鎖」の一面ももっています。
このほかにも、化学物質に似たものをハエカビが生み出すという現象を別の有益な方法に使えないだろうかと研究しているチームも存在しています。ハエカビの不思議な生態は、今後も引き続き、さまざまな面で注目されていくことでしょう。