フモニシンは何に発生するのか

フモニシンはトウモロコシ等の赤かび病の病原菌のフザリウム属のかびから作られるかび毒の一種で、1988年にウマの白質脳軟化症が発生していた南アフリカで発見されました。フモニシンはA群、B群、C群、P群の4群に分類され、現在28種が報告されています。フモニシンはF.verticillioides、F.proliferatumなどのフモニシン産生菌に自然汚染された穀物やその加工品から検出されますが、そのほとんどがトウモロコシから検出されています。F.verticillioides、F.proliferatumは米国、カナダ、南アフリカ、ネパール、オーストラリア、タイ、フィリピン、インドネシア、メキシコ、フランス、イタリア、日本など世界各国に分布。トウモロコシからFB1、FB2、FB3が多く検出されており、中でもFB1は高濃度なものが検出されることもあります。他にも濃度は低いですが市販ワインからFB2、レーズンからFB2とFB4が検出された報告もあります。

フモニシンの危険性

フモニシンはセラミド合成酵素の阻害作用があり、この作用がフモニシンの毒性と深く関与していることがわかってきています。ヒトへの影響としてトウモロコシを主食とする地域で胎児の神経管閉鎖障害とフモニシンの摂取の関係性が示されています。胎児の神経管閉鎖障害とは脳や脊髄など中枢神経のもとである神経管に形成異常をきたすものです。また、ウマには嗜眠、食欲低下し、衰弱してやがて死に至る白質脳軟化症、ブタには肺胞内などに水がたまる肺水腫の原因となることがわかっています。さらにげっ歯類に対する毒性試験では発がん性も示唆され、すべての動物の肝機能を障害するとされています。
このようなフモニシンの危険性から国際食品規格の策定などを行うコーデックス委員会では食用のトウモロコシとその加工品に含まれるフモニシンの最大基準値を設定しています。日本では基準値などは設定されていませんが、日本人のフモニシンばく露量を推計した結果一般的には日本人の健康に悪影響を及ぼす可能性は低いとされています。