トリコテセン類とは

世界中の土壌に存在するといわれる植物病原菌のひとつに、フザリウム菌が挙げられます。今までに、フザリウム菌は数百種類報告されていますが、その中でも難防除性の赤かび病菌を産生するトリコテセン類の毒素は、特に穀類の穂を侵したり、苗を立ち枯れさせたり、紅色雪腐病を引き起こすとされています。

トリコテセン類は菌類の毒素のマイコトキシンのなかで、トリコテセン環を持つセスキテルペンに属する約100種のカビ系毒素の総称です。構造によってA~Dの4タイプに分類され、人や家畜で特に注意が必要なのは、タイプAとタイプBになります。タイプAはT-2トキシン、HT-2トキシン、ネオソラニオール(NEO)、ジアセトキシスシルペノール(DAS)などがあり、タイプBはC-8にカルボニル基を有し、デオキシニバレノール(DON)、ニバレノール(NIV)、フザレノン-X(FX)などが含まれます。

トリコテセン類は世界中の広い範囲で発生が確認されていますが、なかでもデオキシニバレノール、ニバレノール、ゼアラレノン(ZEA)は日本やカナダ、アメリカ、フランス、イギリスなど多くの国で小麦や大麦などの麦類を汚染していることが報告されています。

トリコテセン類の危険性

トリコテセン類は人間を含む動物に対して強い毒性を発揮し、共通して消化器系障害、免疫機能抑制を引き起こします。動物に対する主な急性症状としては、腹痛、下痢、嘔吐、脱力、発熱、悪寒、筋肉痛、顆粒球減少による二次性の敗血症、潰瘍や全身の出血などがあります。また、動物実験では急性毒性として食欲不振によって引き起こされる体重減少、慢性毒性としてはIgA産生異常によるIgA腎症、免疫力の低下、発がん性なども指摘されています。このように人や家畜に重篤な中毒を引き起こすばかりでなく、無脊椎動物や植物にも害を及ぼします。植物に対しては葉の形態形成阻害や根の伸長阻害などを引き起こします。