ルテオスカイリンは何に発生するのか

ルテオスカイリンはペニシリウム属のカビが産生するマイコトキシンのひとつで、アントラキノン系の二量体の化合物です。主に穀類を汚染することで知られていて、黄変米の原因のひとつでもあります。黄変米とは黄色やオレンジに変色した米のことですが、変色だけでなく、人体に有毒な毒素を持つため要注意。日本では第二次世界大戦直後に食糧難が悪化し、海外から大量にお米を輸入しましたが、その一部が黄変米でした。当時の厚生省は黄変米が1%以上混入しているものは配給しない予定でしたが、あまりの在庫量に処分に困った農林省が1%を3%に引き上げて配給するように計画。それに反対した世論が、配給停止を求める市民運動を行うなどしましたが、政府は配給を強行しました。その後、研究者たちが黄変米の危険性を発表したことから、さらに世論は反発。その勢いの強さに政府は配給を停止することになりました。その一連の流れは黄変米事件と呼ばれています。

ルテオスカイリンの危険性

ルテオスカイリンは濃度が高いと肝臓に対して強い毒性を持つことで知られていて、肝硬変や肝癌を引き起こすリスクがあります。しかし、FAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)においても、現段階ではリスク評価は行われていません。また、国際がん研究機関(IARC)によるかび毒の発がん分類においても、グループ3の「ヒトに対する発がん性を分類できない」にカテゴライズされています。
いったん米が汚染されてしまうと熱で加工しても毒素は分解せず残存してしまうため焼却処分・廃棄せざるを得ないのですが、現在は米の保存方法が格段に向上したことで、少なくとも国産米から黄変米につながる毒素が産出されることはないと言われています。